私たちは皆、何らかの競争のある社会に生きています。
学校や受験の場は、その競争社会を擬似体験するいわばシミュレーションの場といえ
るかもしれません。それゆえ子供たちがそこで出会う様々な矛盾や困難は、成長過程
に必要な「試練の場」にふさわしいものとして黙認されているのが現状です。たしかに、
実社会での苦労に比べれば学校生活での困難は「たかが知れている」と考えることも
できます。そして「それも勉強」と言ってしまえば簡単です。しかし、受験を障害物競
走に例えるなら、スタートのタイミングが悪い、あるいはスタート地点すら知らない子
どもたちが大勢いることもまた事実です。しかも、精神的にはまだまだ未熟である若
者たちの中には、学業面で張られるレッテルが自分のすべてのように思いこんでしま
うケースも見受けられます。もちろん「学校生活」での勝利者が実人生における勝者
となるわけでは決してありません。まして民間企業が人材に対する価値観を「実力主
義」にシフトしている今日、「学歴」がいかほどのものか測れるものさしもありません。
しかし、大学進学率が40%近い高学歴社会の環境下にあっては、さまざまな面で「学
歴」を前提としたある種の選別が行われているという事実も無視することはできないの
です。「学歴」から「学校歴」へ、そして「資格」や「能力」へと転換期を迎えつつある今日
の社会の流れの中さえ、「学校生活」での序列はさまざまな矛盾を含みながら消し去り
がたい記憶として子どもたちの心に日々刻まれ続けているように思えてなりません。
 私たちがこの大府市に学習塾を開設して以来、自らに向かって問いかけ続けてき
たのは「では我々が子どもたちに与えられるものは一体何だろうか。」ということでし
た。学習塾であるからには、第一に子どもたちに勉強が良くできるようになってもらわ
なければ意味がありません。同じ時間を学校内で過ごすなら、「わからない」より「わ
かる」方が、「できない」より「できる」方が楽しいに決まっているからです。「わかった」
「できた」時に子どもたちのつくる笑顔の素晴らしさがそれを証明しています。しかも、
分かりやすくていねいに教えることのできる指導者のもとでは、子どもたちは皆この笑
顔を必ず見せてくれるものなのです。その子の持つ長所を生かし伸ばせるようなアド
バイスを心がけることで、学ぶ楽しさ、できる喜びを伝えることができたらどんなにか
幸せだろうか・・・。そこに私たちもやりがいや生きがいを感じることができるのではな
いか・・・と考えました。そして子どもたちの内にあるがんばり屋の部分を励まし、なま
け者の部分をしかりながら、うれしいことや悲しいことをいっしょに分かち合えることを
何よりの励みとしてきたのです。自分の持つ優れた特質に気づいていない子どもたち
に「自己の能力に目覚め自ら学ぶ力を身につける」ことを教えてあげることが私たちの
目標であり仕事です。わかる⇒できる⇒楽しい⇒勉強する⇒わかる・・・という好循環
をいかにしてつくりあげるのか・・・そうした創意と工夫が本物の「学習」につながると私
たちは信じています。そして、このような「自分を活かす」術を学ぶことこそが近未来を
たくましく生き抜くことにつながるのではないかと思うのです。
 また、開塾当初から私たちの念頭にあったのは、「強い志を持った若者の集まる塾に
していきたい」という強い願望でした。秀友館のイメージキャラクターであるイルカは、
「井の中の蛙」にならず「大洋を泳ぎ回る賢い生き物」になって欲しいとの願いを親しみ
やすいシンボルに託したものなのです。おかげさまで年を追うごとに地域の方々の支
持と信頼を得て、大学入学をめざす強い意志のある子どもたちが集う塾として広く認め
ていただけるようになりました。そして今日では、高校部から有名大学に進学する若者
が多数輩出するまでに発展を遂げるに至っています。小学部・中学部・高校部ともに地
域のさまざまな学校から子どもたちが集まり、学校区の枠組みを越えた友達づくりがご
く自然に行われていることも秀友館ならではの特色ではないかと思います。そうした中
から、社会に出て何よりも必要となるコミュニケーション能力や、はっきりした意思表示
のできる物怖じしない態度を身につけてもらえたならば本望です。地域に密着しながら、
全県さらには全国に視野をおき、互いに競い合い磨き合う学習環境を備えた塾として、
これからも開設当初よりのポリシーを貫いて参りたいと思います。
 地球環境の劣悪化が論じられ、日本を取り巻くさまざまな状況にも厳しさが増していま
す。大人たちにとって厳しいのなら、子どもたちにとっても生きにくい時代が到来している
に違いありません。私たちが幸運にもたどってきた道を、わが子たちが同じように歩める
とは限らないのです。だからこそ、子どもたちが、次代を生き抜く武器としてしっかりとし
た知力を身につけ、健やかにたくましく成長を遂げることを強く願わずにはおれません。
私たちにできることは、限られています。しかし、将来を担う大切な子どもたちを預かる身
として、一人ひとりがそれぞれの持つ能力を最大限に発揮してもらえるような学習環境
づくりに全力を尽くして参りたいと思います。今後とも皆様方のお力添えのほど、よろしく
お願い申し上げます。


秀友館 代表  遠藤 実